秘密
「でも昔、お母さんの秘密をその口で暴いただろう?」
「あの時は幼くて……秘密の意味を知らなかったから」
「あぁ、そうだったな。昔から薄気味悪い子どもだったな」
 喉元を裂かれたように声が出なかった。
 思わず、理世の顔を見た。青い顔をして震えている。
 男は理世の表情に気を良くしたのかまくしたてる。
「あぁ、そうだ。思い出した。お母さんは誰にも話してなかった、って言ってたんだ。家で電話もしなかったし、一切の証拠も残してなかった。唯一あったのがドライブレコーダーの行動履歴だけだったよ。それなのにお前は秘密を知って。なあ理世、お前は」

 悪魔の子だよ。

 俺は立ち上がって理世の席の前に立った。

「理世」
「崖下…」

 二人は似たような顔で目をまん丸にしながら俺を見つめている。
 理世。お前は知ってたんだな俺の秘密を。そのうえで俺に私はいなくならないから、と泣いてくれたんだな。俺は理世の腕を掴んで立ち上がらせる。
 
「行くよ」
「え、ちょ」
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