秘密
「崖下の秘密を知って、自己嫌悪が凄かった。本当に馬鹿だった。けれどそこまで私が秘密を知れるまでそのガードがなくなったのも嬉しくて…最低の女なの。悪魔のような」
「それが理世の秘密…?」
「うん」

 理世は声もあげずにその弱弱しい背中を震わせていた。
 俺はその背中に抱き着いた。理世は背中を丸めた。

「俺は理世に救ってもらったよ」
「え?」

 理世は涙でぐちゃぐちゃになった顔で振り返った。俺は目尻にキスを落とした。

「俺はこの秘密を抱えて誰とも深い関係にならず、ひっそり死んでいくんだと漠然に思っていたんだ。俺に心をこじ開けさせたのは理世だけ。俺は理世と、この先も歩きたくて、でも怖くて…どうしていいかわからなかった」
「崖下…」
「きっと理世に出会わなかったらこんなこと思えなかった」

 理世が胸元に泣きついて崩れ落ちていく。ごめんなさい、とありがとうを永遠に繰り返す。俺も何かが溶けていくように泣きながら同じように繰り返す。お互い息もできないくらいきつく抱き締める。

「崖下、の秘密も、私が抱えるから。お願い一緒に…」

抱え込んでいた後頭部を持ち上げて理世にキスをした。
理世の濡れてしょぼしょぼになった目を見つめて、息を吸った。


「俺の秘密は―――」


 


end
< 34 / 34 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:3

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

星が代わりに泣いてくれるから

総文字数/13,918

恋愛(純愛)28ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
結婚記念日を夫にすっぽかされたセリカは夫への不満が爆発してしまい勢いに任せて家を出て行った。 今日は各地で流星群が見えるらしい。それなら国立天文台へ見に行こうと何も告げずに車を走らせる。 長編にはなりません \10/29総合ランキングありがとうございます/
宛先不明の伝書鳩

総文字数/7,387

恋愛(純愛)18ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
三日に一回、リリーの家に鳩が手紙を持ってやってくる。しかしその手紙は差出人不明。 しかも愛の言葉がたくさん散りばめられている手紙だった。 身に覚えのない手紙に違いますよと送っても愛の熱量がエスカレートし、どうしていいか困るリリー。 そんなとき戦争から帰還した兄から、幼馴染の兄のシグと恋仲なのかと聞かれーーー? すれ違いラブです。 さくっと読めます
彼の結婚、私の今後。【短編】

総文字数/10,628

恋愛(純愛)21ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
友達以上恋人未満の友人・傑【スグル】と飲み会の時に結婚する旨を伝えられるなつき。 今度の日曜日、婚約者に会ってほしいと伝えられてしまう。 愛とは、結婚とは、不倫とは。 どんなものにも形があって、どんなものにも正解はなくて。 5/7初ランキング入りありがとうございます!

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop