厄介払いされた聖獣王女ですが、冷徹なはずの皇帝陛下に甘やかされています
*
「シャムール王国第一王女、フラン・ミア・シャムール。顔をお上げなさい」
そう高らかに告げたのは、皇帝の並びに着席している、皇太后陛下。
皇帝の母親であるその人は、年かさであるが凛として美しく、この場にいる女性の中で最も豪奢で、気品がある。
一方、中央の玉座にいる皇帝と思しき人物は、長い足を組み、不遜な態度で黙りこくったままだ。
――ヴォルカノ帝国第八代皇帝、ライズ・ド・ヴォルカノ。
残酷で横暴、怪物のように恐ろしい見た目をした、冷徹な独裁者。
そうした評判を聞いているフランは、謁見の間に通されてからもびくびくと下を向き、皇帝の顔をちらりとも直視できずにいた。噂のとおり、周囲に控えている臣下たちも、ピリピリとした雰囲気だ。
顔を上げるよう許しが出たからには、すぐにそうすべきなのだろう。だが緊張で強ばった体は言うことを聞かずに、固まったままだ。
臣下たちからの、早く命令に従えという鋭い視線が突き刺さった。
「シャムール王国第一王女、フラン・ミア・シャムール。顔をお上げなさい」
そう高らかに告げたのは、皇帝の並びに着席している、皇太后陛下。
皇帝の母親であるその人は、年かさであるが凛として美しく、この場にいる女性の中で最も豪奢で、気品がある。
一方、中央の玉座にいる皇帝と思しき人物は、長い足を組み、不遜な態度で黙りこくったままだ。
――ヴォルカノ帝国第八代皇帝、ライズ・ド・ヴォルカノ。
残酷で横暴、怪物のように恐ろしい見た目をした、冷徹な独裁者。
そうした評判を聞いているフランは、謁見の間に通されてからもびくびくと下を向き、皇帝の顔をちらりとも直視できずにいた。噂のとおり、周囲に控えている臣下たちも、ピリピリとした雰囲気だ。
顔を上げるよう許しが出たからには、すぐにそうすべきなのだろう。だが緊張で強ばった体は言うことを聞かずに、固まったままだ。
臣下たちからの、早く命令に従えという鋭い視線が突き刺さった。