厄介払いされた聖獣王女ですが、冷徹なはずの皇帝陛下に甘やかされています
 震える喉を絞りながら、先ほど聞こえた声を頭の中で再生した。驚きはしたが、聞き覚えのある低い声だった気がする。
 もしかしてと思い、そっと顔だけを出すと同時に目に飛び込んできたのは――。
 一日でも早く帰ってきてほしいと願っていた帝国の太陽、ライズだった。

「ライズ様!?」

 思わず身を乗り出そうとして、自分が裸だったことを思い出し、引っ込める。
 目の前にあったベッドカバーを剥がして体に巻きつけると、彼の前へと飛び出した。
 手前で裾を踏んでしまい、足がもつれて倒れ込みそうになったところを、ライズが手を伸ばし抱きとめる。

「フラン。ただいま」
「おかえりなさい……」
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