縁切りの神様と生贄婚 ~村のために自分から生贄に志願しましたが、溺愛がはじまりました~
そしてなにかに感づいたように客間へと視線を向けた。
そこには兄弟が布団に入っている。

切神は気配で感づいたのだろう。
「勝手をしてごめんなさい。どうしてもほっておけなかったので」

薫子は早口に説明をして客間をそっと開いた。
火の優しい色合いで客間が照らし出される。

兄弟は相変わらず眠ってばかりだ。
その顔色は相変わらず悪い。

「病にかかっているな」
「やっぱり、そうですか」

薫子が準備した薬草はあまり効果を示していなかったと見える。
切神はそっと客間のふすまを閉めた。

「村で流行っているのはこれと同じ病だ。感染力が強くてあっという間に村の半分の人が感染している。まだ死者は出ていないようだけれど、これからどうなっていくかわからない」
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