縁切りの神様と生贄婚 ~村のために自分から生贄に志願しましたが、溺愛がはじまりました~
「そんな……」
「すぐに縁切りをする。少し1人になる」

切神は早口にそう言うとすぐに本殿へ向かった。
薫子がその後を追いかけようとするが、火がそれを引き止めた。

薫子の方の上にのり、首を左右にふるような仕草をする。
「でも……」

「薫子、私達は性のあるものを沢山作るのよ」
菊乃が薫子を元気づけるようにそう言った。

今回の縁切りが簡単ではないことは、切神を見ていればわかった。
だけど自分たちにできることはほとんどない。

せめて、切神が空腹のときにすぐに食べ物を出せるように準備しておくことだ。
薫子は「そうね」と、自分に言い聞かせるように頷いたのだった。

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