紅色に染まる頃
「わあー、気持ちいい!」
伊織のスポーツカーを、美紅はご機嫌で運転する。
あの後すぐに支度をするように伊織に言った美紅は、まず自分のマンションに寄って荷物をまとめ、運転しやすいジーンズに着替えてから、念願の高速道路に乗って京都に向かった。
「ひゃー、この感覚!滑らかな走り、ぶれない動き。さすがスポーツカー!」
「ちょ、あの、くれぐれも安全運転でね。法定速度は守って」
「もちろんですわ」
伊織はハラハラしながら美紅と前方を交互に見つめる。
(駄目だ、完全にスイッチが切り替わってる)
こうなってはどうしようもない、と伊織は諦めた。
「本堂様。このまま京都までノンストップで参りましょうか?」
「ええ?!さすがにそれは。どこかで休憩して」
「かしこまりました。あー、それにしても本当に楽しいです」
「そ、それは良かった、です」
途中で休憩に立ち寄ったサービスエリアで、運転席から美紅が颯爽と降りると、周りにいた人が2度見する。
(ちょっと、俺が助手席から降りづらいじゃないか)
そそくさと伊織は店内に入った。
コーヒーを飲む伊織の向かい側で、美紅は美味しそうにソフトクリームを食べる。
「サービスエリアで食べるソフトクリームって、特別美味しく感じません?」
「ああ、なんか分かる。ちょっとわくわく感があるよな」
「ええ。旅の途中って感じで」
「君はよく車で遠出するの?」
ふと気になって聞いてみる。
「運転は大好きなのですけど、父にこっぴどく叱られるのでなるべく控えています」
「え、車で出掛けると叱られるの?」
「近場なら大丈夫ですが、近所のスーパーに食材を買いに行くはずが、山梨まで行ってしまったりするので」
はあ?!と思わず大きな声を出してしまい、伊織は慌てて口を押える。
「ど、どういうこと?」
「んー、お天気が良いと誘われてしまうのです。あとは、美味しいうどんが食べたいなと思って、香川県まで行ってしまったこともあります」
「ヒーッ!香川?!」
「ええ。だって美味しいんですもの、香川の讃岐うどん」
「そ、そういう問題じゃない!」
「おばあ様が、パスポートがあったらそのまま海外までふらっと行きそうねって笑ってらして。なるほど、良いですねってパスポートを持ち歩こうとしたら、父に取り上げられました」
「それはそうだろう、うん」
伊織は真顔で何度も頷く。
(じゃあ今日みたいに、そうだ!京都へ行こう!っていうのは、まだ大人しい方なのか)
感覚が麻痺してきて、そんなふうに思ってしまう。
笑顔でソフトクリームを食べる美紅を、伊織は眉間にしわを寄せながら見ていた。
伊織のスポーツカーを、美紅はご機嫌で運転する。
あの後すぐに支度をするように伊織に言った美紅は、まず自分のマンションに寄って荷物をまとめ、運転しやすいジーンズに着替えてから、念願の高速道路に乗って京都に向かった。
「ひゃー、この感覚!滑らかな走り、ぶれない動き。さすがスポーツカー!」
「ちょ、あの、くれぐれも安全運転でね。法定速度は守って」
「もちろんですわ」
伊織はハラハラしながら美紅と前方を交互に見つめる。
(駄目だ、完全にスイッチが切り替わってる)
こうなってはどうしようもない、と伊織は諦めた。
「本堂様。このまま京都までノンストップで参りましょうか?」
「ええ?!さすがにそれは。どこかで休憩して」
「かしこまりました。あー、それにしても本当に楽しいです」
「そ、それは良かった、です」
途中で休憩に立ち寄ったサービスエリアで、運転席から美紅が颯爽と降りると、周りにいた人が2度見する。
(ちょっと、俺が助手席から降りづらいじゃないか)
そそくさと伊織は店内に入った。
コーヒーを飲む伊織の向かい側で、美紅は美味しそうにソフトクリームを食べる。
「サービスエリアで食べるソフトクリームって、特別美味しく感じません?」
「ああ、なんか分かる。ちょっとわくわく感があるよな」
「ええ。旅の途中って感じで」
「君はよく車で遠出するの?」
ふと気になって聞いてみる。
「運転は大好きなのですけど、父にこっぴどく叱られるのでなるべく控えています」
「え、車で出掛けると叱られるの?」
「近場なら大丈夫ですが、近所のスーパーに食材を買いに行くはずが、山梨まで行ってしまったりするので」
はあ?!と思わず大きな声を出してしまい、伊織は慌てて口を押える。
「ど、どういうこと?」
「んー、お天気が良いと誘われてしまうのです。あとは、美味しいうどんが食べたいなと思って、香川県まで行ってしまったこともあります」
「ヒーッ!香川?!」
「ええ。だって美味しいんですもの、香川の讃岐うどん」
「そ、そういう問題じゃない!」
「おばあ様が、パスポートがあったらそのまま海外までふらっと行きそうねって笑ってらして。なるほど、良いですねってパスポートを持ち歩こうとしたら、父に取り上げられました」
「それはそうだろう、うん」
伊織は真顔で何度も頷く。
(じゃあ今日みたいに、そうだ!京都へ行こう!っていうのは、まだ大人しい方なのか)
感覚が麻痺してきて、そんなふうに思ってしまう。
笑顔でソフトクリームを食べる美紅を、伊織は眉間にしわを寄せながら見ていた。