恋愛教育のススメ〜イケメン副社長はド天然?教育係を任せれましたが地位は要らないので解放して下さい〜
(子供か!)

初めて見る物が楽しいみたいで何でも買おうとする。

「さっきの服も白石さんに似合」
「似合いません!早く映画に行きますよ!!」

ぐいぐい引っ張りショップ前を足早に通り過ぎて何とか一番端にある映画館に来れた。

「チケットはもう買いましたから」

ランチ中にチケットは事前購入してたから時間ギリギリに着いても焦る必要はない。

「これ観たかったんで付き合って貰えますよね?」

恋愛系でもお涙頂戴系でもないアクション系。
副社長をもっと楽しませる為にサプライズ。

「普通のデートの勉強の一貫です」

珍しい私の上目遣いに抱きしめそうな勢いの副社長は私の軽い睨みに渋々諦めた。

「分かりました。先生の言う通りに」

きっと副社長レベルなら高級ブランドで買い物とか高級レストランで食事が当たり前。
映画を観ながらポップコーンとか想像出来ないと思う。

アクション映画に二人で興奮して滅多に食べないスイーツを二人で食べて帰りの車の中は静まり帰る。

失敗した。
凄く楽しすぎてまだ一緒に居たいと思ってしまってる。

運転する副社長を外を見る振りしてガラス越しに見る。
真っ直ぐ前を見ていて副社長がどう思ってるか分からない。

円生と話した時に言われた事を思い出した。

“素直にもなれない。何も言えない。だったら教育係なんて止めて離れなさいよ”

ぐるぐる円生との会話が頭をいっぱいにしていく。

「白石さん」

頭の中の会話を読まれたんじゃないかと思うタイミングで声を掛けられ副社長の方勢い良く見てしまった。

「この後お見合いの方と会って来ます」

私を一瞬見てまた前を向く。
通り過ぎる車のヘッドライトが副社長を照らした。

あぁ…そうだよね。
私達はデートの勉強中だっただけ。
私はお見合い相手へのお膳立てに過ぎない。

「今日の練習が上手く行けば良いですね」

そう言って笑ったけどお相手もお嬢様。
庶民のデートじゃなくてお金持ちデートがお気に召すかも知れない。

「ありがとう」

お礼を言った副社長はこちらを見ない。
私も副社長を見ずに頷いて窓を流れる景色に目をやった。
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