恋愛教育のススメ〜イケメン副社長はド天然?教育係を任せれましたが地位は要らないので解放して下さい〜

Lesson…5上司は部下と永久不変の確固たる地位を確立しました。

「模擬ウエディング日和!今日は皆さん宜しくお願いします」

10時の開店時間までは通常通り業務をやって13時から始まる模擬式には北館総出で役割分担が決まってる。

「前島さん司会進行を頼んでるフリーアナウンサーの方はこちらの小会議にえっと…カップルの方は東館に案内して下さい」

他のスタッフにも警備や会場設備の再確認をお願いして私も会場に再度向かった。

「おーい。白石〜!」

1階に降りるエレベーター前で片桐さんに捕まえられてあからさまに嫌な顔をした。
さすがに今日は何を頼まれても断るつもり。

「おいおい。今日は俺だって手伝いなんだぞ」

広報は式中の写真や動画をSNSにアップする為に朝からセッティングと忙しいみたい。

「でしたね〜。北館の為にも話題になる写真お願いしますよ」

二人で到着したエレベーターに乗り込み1階から3階まで続く螺旋階段を見上げた。

螺旋階段は蘇芳の名物であり象徴のような物。
作られたのは明治時代だと言われてる。
各館にある螺旋階段の手摺の模様などは館によって違うのが特徴でこれを楽しみに来店されるお客様も多い。

北館は昨年改修工事が終わったばかりで金色に輝く飾り彫りは圧巻で眩しい。

「床に散りばめたバラも良いですね」

「まあ模擬とは言っても結婚式だしな」

片桐さんも一眼レフカメラのレンズを覗き螺旋階段を撮影する。

パーテーションと警備で北館の1階はお客様の入れる範囲が今日は決まっていて開店して一時間ほどで混雑が始まりつつあった。

「先にお昼しちゃいますか?」

11時を過ぎて片桐主任を誘い社食に向かうと考える事は皆んな同じで結局混雑に巻き込まれた。

「うーん…私はうどんだけにします」

模擬式までの時間を考えると早く食べれて胃に溜まる物をチョイス。

「俺は…ハンバーグ定食だな。白石は席取り頼むよ。うどんは任せろ」

嬉しそうに小鉢を選んでる片桐さんに私の食券を渡して席を取った。

どんどん社食に入ってくる人達に緊張してくる。
昨年も無事に終わった事だし今年も上手く行くと思う。

そう何も無ければ…

ブルッと内ポケットで社内用の携帯が震えたのが分かりタイミングの良い電話に不安を感じた。

『チーフ!!大変です!!』

前島さんの叫び声に似た声と背後が何やら慌てた様子で騒がしい。

「すぐ戻ります」

「おいどうした?」

呑気にハンバーグ定食とうどんをお膳に乗せた片桐さんに「うどんもどうぞ!」と言い残し社食を飛び出した。
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