本当の復讐
繋がりが希薄になってしまい、淋しくなった私は、マドレーヌを焼いて、高橋くんの家まで持っていくことにした。

休日、高橋くんの家に向かう途中、公園を横切ろうとした時のこと。

公園のベンチには、何故か高橋くんと、私の親友である美亜が二人きりで居る。

声をかけようと近づいていったのだが、二人は私に全く気付かず楽しそうにじゃれ合い、そのままキスを交わした…。

私はもう、すぐそばまで来ていて、思わずマドレーヌが手から滑り落ちてしまった。

その時、おもむろに二人は私に気付き、ほんの一瞬だけ驚いた様子だったが、

「史奈ってば、覗きみたいなことしてサイテー!」

美亜は咎めるように言う。

「二人とも、どうして…?」

そう尋ねるのが精一杯だった。
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