レッツゴー!ダンススクール・革命!

とても勝てない【side莉衣】

あたし…桐生莉衣には、勝てない相手がいる。
それは、双子の姉…桐生莉亜。
莉亜はバカなあたしとは違ってめちゃくちゃ頭が良いし、何より歌が上手い。
勝てるところと言ったらダンスぐらいしか思いつかない。
…なんて、自意識過剰だけど。
そう思いながらレッスン室で友達と喋っていたとき。
ガチャリと扉が開いて、秋葉先生が入ってきた。
「じゃ、今日は予告通り、1級のテストしますからね」
そう言って先生は傍にあったイスに座ると、ペンでサラサラと何かを書きつける。
「あそうそう、同じ1級としてアドバイスをと思ってお2人をお呼びしたわ。入ってらっしゃい!」
「こんにちは〜!」
「よろしく」
あっ!?陸と伊織!
「陸と伊織がダンス見てくれんの!?」
あたしがそう叫んだ途端。
「ええっ!あのRIKUとナナが!?」
「嘘!聞いてない…」
「無理無理、あのイケメンの前で上手く出来ないって…!」
女の子達がザワザワと騒ぎ始める。
あーあー、うるさいうるさい。
男と女って、そんなに違うもんなのかな。
あたしは別に気にしないけどね。
「じゃあまずは…桐生さん、お願いできるかしら?」
先生がそう言うと、また周りが騒ぎ出す。
「先生!桐生さんはダンスが上手いんだから1番最後にしてください!」
「そうですよ!」
すると先生はふぅっとため息をついて。
「桐生莉亜さん、お願いします」
その瞬間、女の子達はザワザワから一気に爆笑へと変わった。
「なぁんだ。桐生姉か」
「姉はショボイし…次の人ラッキーだね笑」
はぁ?
莉亜がショボイ?
あたしは怒りを込めて相手を睨みつける。
女の子はひっと怯えたように後ずさった。
ふん。雑魚が。
「莉衣さーん?」
先生の言葉でハッと我に返る。
「すいません…」
そう謝ってから莉亜の肩を軽く叩く。
「莉亜!ファイトっ」
「あ、うん…」
顔が青ざめてる…心配だなぁ…。
先生に何か伝えたあと、目を閉じてしゃがみ込む莉亜。
課題は『マーメイド』らしい。
このダンススクールの1級合格条件は、ランダムの課題に沿ったダンスをすること。
ただし、課題は直前…1時間前くらいに伝えられるという鬼畜っぷり。
だけれど曲は自分が知っている曲ならなんでもかけて貰える好条件つき。
これはいかに普段からダンス練習をしているか、流行りの曲や昔の曲を知りテーマに合ったパフォーマンスができるかどうか試されているんだ。
ごくりと息を飲む。
みんなが一斉に莉亜に注目する。
「〜♪〜♪〜♪」
わっ…!
アカペラだ…!
みんな目を見開いて莉亜を見ていた。
この曲…知ってる!
『ヨゾラへ』だ!
サビの部分がクセになると今話題の曲。
なんとカラオケ。
動きは軽めだけれどしなやか。
サビの部分にくると、莉亜はぶわっと体を起き上がらせてうまくサビの部分を表現。
「〜♪」
ぺこりとお辞儀をして次席に戻る莉亜。
「はい、もういいわ。次は…莉衣さん」
「はいっ!」
返事をして立ち上がる。
あたしの課題は、『子犬』
無理難題すぎない?
先生にお願いした曲は、『アソビ☆MAGIC』っていうやつ。
ポップな曲調だからテーマにもピッタリだと思う!
アップテンポな曲調から曲がスタート。
…よっしゃ。
最っ高のパフォーマンスしてやる!
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