夢×恋グラフィティ
私の名前は、御井悠花(ゆうか)。中学1年生。
私の家は、医者家系で。
父、祖父、そして、曾祖父も医者だったとか。
そんな環境で育てば、必然的に一人娘の私に対する両親の期待はそれはもうすごかった。
「悠花、あなたはお父さんみたいな立派なお医者さんになるのよ」
母のそんなセリフも、物心ついてから今まで、耳にタコができるくらい言われ続けている。
私自身、勉強することは嫌いではないし、両親から成績のことで褒められるのも嬉しかったからそれなりに勉強に取り組んできた。
ただ、今日みたいに少しでも点数が低い教科があれば「次はもっと上を目指しなさい」と口うるさく言われるのは勘弁してほしい。
私だって、毎日それなりに頑張ってるんだけどなぁ…。
心の中でそんなことを思いつつ、英語の教科書を広げた私は、返却されたテストでミスした文法の復習に取り掛かった。
期末テストが終了し、現在、7月に入ったばかり。
梅雨開けした最近では晴れの日が続いていて、窓の外は雲一つない空が広がっている。
平日は学校に行き、放課後は家に帰ってから勉強。
土日は塾や家庭教師付の日々。
それが私にとっては当たり前。
だから今まで特に疑問も抱いたことはなかった。
けど…。
ある人物との関わりをきっかけに、そんな私の代わり映えない日常が少しずつ色づき始めるーー…。