夢×恋グラフィティ
何でもいいから何か言わなくちゃと焦る私に対して
。
「御井、今日、無理に意見出さなくても大丈夫だよ。御井が本当にやりたいことできた時に教えてくれればいいからさ」
まるで、私の気持ちを見透かしたような真田くんの発言に私は息を呑む。
そして、私も続けざまに小さく頷いた。
確かに無理して意見を出しても仕方ないもんね。
彼の言葉にほんの少しホッとする。
「よし。とりあえず、今日はこのくらいにしようか。来週月曜日から本格的に活動開始な!」
真田くんの言葉を皮切りに、ファミレス前で解散した私達はそれぞれ帰路についた。
私も塾の自習室に置いてある荷物を取りに塾へと続く道のりを1人戻る。
そうだ。塾のトイレで服を着替えて髪型も戻さないと!家を出た時と違う服で帰れば、お母さんに色々言われそうだし。
そんな考えを巡らせつつ、私が塾の入口にたどり着いた時。
「え、何でここにいるの…?」
たらりと冷や汗が頬を伝うのを感じ、血の気が引いていく。
だって、塾の前に立っているのはここにいるはずがない人物。
「お母さん…」
小さく消え入るように私が言葉をもらしたのと、母が私を視認したのはほぼ同時だった…。