夢×恋グラフィティ
金髪だなんて、どう考えても校則違反なのに、成績が良いからか先生たちも特に言及することはないし。
むしろ…。
「お!真田、悪いけどこの資料を教室まで運んでくれるか?」
「真田!今度、うちの部活にスケットに来てくれないか?」
と、彼が歩く度に先生たちも声をかけているし、真田唯月に対する信頼が厚いのがわかる。
かくいう私は、学年1位ということ以外、誇れるものはなにもなくて。
校則通りに制服を着こなし、2つ結びの黒髪おさげ。中学生にもなればメイクをし出す女子も多いのに私は基本すっぴん。強いて言うならリップをつける程度。
見た目も、友達の数も、先生からの信頼も、真田唯月に遠く及ばない。
そんなこともあってか私は、密かに彼が苦手なのだった…。
まぁ、私と真田唯月じゃ、正反対すぎて関わり合うことはまずないし、問題はないんだけどね。
同じクラスとは言え、入学してから数ヶ月。
会話だって数えるほどしかしたことない。
彼には彼の世界があって、私には私の世界がある。
それは、きっと交わることなく平行線のまま。
そう高を括っていた。
だから、あの日。
特に接点もない私に、唐突に話しかけてきた真田唯月に私は戸惑いを隠せなかったのだーー…。