気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
「オレがそう呼んでほしいって言ったんですよ。てか、オレよりすごい人のことを”歴くん”って呼んでるじゃないですか、叶愛サン」


おかしそうに笑われた。

言われてみれば確かに。

いくら本人にそう呼べと言われていても、みんなが崇める彼を気安く『歴くん』と呼ぶのはあまりに不躾だと思う。

思う……けど。


勝手ながら、私の中ではもう『歴くん』がしっくりきてしまって、それ以外の呼び方は考えられなかった。



「歴君、電話出ないなー」


スマホを片手に龍くんがぼやく。


「上にいると思うんで直接迎えに行きましょーかね」


やれやれと言った様子でスマホをポケットに仕舞った彼に続いて、エレベーターに乗りこんだ。
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