気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす

side叶愛



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一週間ぶりの学校。

特に今までと変わらないはずなのに、心なしか景色が明るく見えた。



しっかり休んで、ご飯も食べて、体調がよくなったおかげかもしれない。


授業にもしっかり集中できるし、クラスメイトと話す時間も純粋に楽しい感じられるようになっていた。


今までの自分に、いかに余裕がなかったのか実感する。


学業とアルバイトを兼ねていたせいで、時間もなく。
あれもしなきゃ、これもしなきゃと常に考えている状態で。


勉強を頑張ったからといって愛されるわけでもなく。

アルバイトを頑張ったからといって、得たお金は学費と生活費に消えていくだけ。


自分の努力は自分が生きるためにしかならない、誰の役にも立たないと気づいて絶望した。

なんのために生きているのか何度もわからなくなった。



だけど今は……歴くんがいる。

それだけのことが、こんなに幸せだなんて思わなかった。

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