SENTIMENTALISM


慧斗が物悲しそうに笑ってみせる。

「瞳の心臓は機械の力で動かされてる。もう瞳の意志なんてどこにもない。声も聞けない。笑った顔も見れなければ涙さえ拭えない」

"まるで人形のようだ"なんていう例えは当て嵌まりすぎて口には出せなかった。

管につかれた眠り姫はいったいどんな夢を見ているのだろう。

最後の記憶は軽薄で薄汚い人間に汚された記憶かもしれない。
永遠に悪夢にトリップしたまま。


慧斗が瞳さんの柔らかそうな髪を掬い上げてキスをした。

そっと、慈しむようなキスだった。




―――あたしは彼女には叶わない。


きっと永遠に
ふたりは愛しつづけるのだ。



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