SENTIMENTALISM

慧斗を見ると顔をそらすように床の一転を見つめていたので

あたしは息をのんで不安な表情のまま、ゆっくり話しはじめた。

「……始めは、梨紗とふたりで…いつものように…買い物してから此処に来ようって……言ってたの」

震える唇が言葉を紡ぐのを難しくさせる。
あたしの小さな声がいつも賑やかなはずの部屋に虚しく響いた。

「……でもお金……ないから……梨紗が…綾子さんから教えてもらった……バイトがあるって…」

話を続けていくうちにジワリジワリと、あの恐怖が身体に蘇ってきて、声も身体もガタガタ震えはじめる。


「……そのあと…ついていったらホテルで……知らないオヤジがいて………身体触られかけた…」


耳元で囁かれた

アイシテルがまるで頭の中で録音されていたかのように息遣いまではっきり再生されたので

あたしは咄嗟に耳を塞いだ。



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