それでもキミと、愛にならない恋をしたい

「学校のアイドル相手だと、ライバルが多いよぉ」
「大丈夫。京ちゃん美人だし、性格もいいんだもん。せっかく一緒の委員会で話せるようになったんだし、これからだよ!」

スラリとしたスタイルに目鼻立ちの整った京ちゃんは、外を歩くとモデル事務所からスカウトの声がかかるほどの美人さん。

けれど気取ったところがなく、高校入学後、引っ越してきたばかりで同じ中学の友達がいない私に声をかけてくれたのがきっかけで仲良くなった。

言いたいことはハッキリ言うタイプなしっかり者の京ちゃんと、思ってることをうまく伝えられない口下手な私だけど、なぜか気が合う。

一緒にいると楽しいし、なんだか自分まで明るくしっかり者になれた気がする。高校生活がこんなにも充実しているのは彼女のおかげだった。

そんな京ちゃんは、実はこれまで初恋もまだだったという可愛らしい一面もあって、今は日野先輩に初めての恋をしている真っ最中。

私も恋愛経験なんてないから話を聞くしかできないけど、京ちゃんの初恋が実ればいいなと願っている。

「菜々は? 佐々木先輩と付き合いたいって思わないの?」
「えっ、私?」

急に話を振られて、意味もなくドキッとする。

< 4 / 272 >

この作品をシェア

pagetop