Sweet silent night

8.その話、引き受けましょう!

「月城くん。あたし手伝うよ、クリスマスイヴのイベント! いろんなクリスマスソング、心をこめて演奏するね」
 すると、少し緊張していた月城くんがみるみる笑顔になって。
「ホントに? どうもありがとう! わぁー、すっげーうれしい」
 ふふふ。この冬月くんの笑顔、人なつっこくてとってもカワイイな。
 こんなに喜んでもらえて、あたしもすっごくうれしいよ。
 
くわしくはSNSで連絡するから、と月城くん。
 おたがいの連絡先を交換して帰ろうとすると、月城くんはあたしの肩をポン、とたたいて。
「じゃあ、イヴはよろしく! オレ、楽しみにしてるから」
 そのやさしそうなまなざしに、思わず、ポッ、とほおが赤くなる。
 って、ダメダメ! なにかんちがいしてんのあたし!
 
これは、あくまでもイベントのお手伝いのため。
 デートの約束なんかじゃないんだから。
 冬月くんが好きなのはあたしのピアノで、あたし自身のことじゃないのに。
 そう考えると、ちょっぴり胸が切なくなっちゃうけど……。
 ま、このままクリぼっちで過ごすよりはマシか。ひとりじゃやることもないし。
 大勢の前でピアノ弾くなんて久しぶりだなぁ。
 よーしっ、当日までいろんな曲練習しておこっと!

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