Sweet silent night

9.とびきりのおしゃれ

 そして、いよいよ迎えたクリスマスイヴの日。
 せっかくだから、とびきりおしゃれしていこう。
 
 いつもきっちり結ってる髪をおろして、しっかりブロー。
 軽ーくファンデーションも塗って、明るめのリップティントもつけて。
 マスカラはブラウンのほうが自然かな? 黒だとなんか目元がケバくなるんだよね。
 ボルドーのロングワンピースに、こないだ買ったコットンパールのヴィンテージネックレスつけたら、大人っぽくていいかも。
「なに、どしたの!? おねーちゃん。ひとりで過ごすって言ってたのに。ムダに気合い入ってない?」
 ムッ、妹め。
「ちがうの、これは人助けのためなんだから」
「人助け?」
「そう、行ってきまーすっ!」

「えっ、星野さん……!?」
 カフェに着くと。
 あたしを見た月城くんは目をパチクリさせてる。
「ヘ、ヘンだったかな?」
 ヤバい、気合い入れすぎちゃった?
 月城くんは、ふるふるっと首を横に振って。
「ううん、すっごくよく似合ってる。今日はいそがしい一日になりそうだけど、いっしょにがんばろう!」
 と、さわやかにほほえんで、力強い握手をした。
 手から月城くんのあたたかさが伝わってきて、つい胸のドキドキが高鳴る。
 しっかりおしゃれしてきてよかったかも……?
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