一年後に離婚すると言われてから三年が経ちましたが、まだその気配はありません。
 私達は、お互いの想いを打ち明けようとしなかった。それは怖かったからだ。その想いを打ち明けて、関係が壊れることが。

 だけど、そんなはずはないことなんて、とっくにわかっていた。
 私も彼も、想いは同じであることはわかっていたはずだ。
 しかしそれでも、踏み込めなかった。それは、私達が弱かったからなのだろう。

「随分と待たせてしまったな……」
「それはお互い様よ」
「そうか……だが、君から言わせてしまった」
「そんなの気にしないで。ただ私の方が事実を確認する必要があったというだけだから。それに、好きだと言ってくれたのはマグナスの方じゃない」
「それは……」
「ああ、言ってなかったわね。私も、あなたのことが好きよ?」

 どちらが言い出したとか、そんなことはそれ程重要なことではない。
 今重要なのは、私達が本当の夫婦になったということだ。それ以外のことなんて、些細なことでしかないのである。

「マグナス、これから改めてよろしく、ね?」
「……ああ、必ず君を幸せにすると約束しよう」
「ありがとう。あなたなら、絶対にその約束を果たしてくれると信じているわ」

 私とマグナスは、ゆっくりと口づけを交わした。
 こうして私達は、真の夫婦としてこれからの未来を歩んでいくことになったのだった。
< 86 / 88 >

この作品をシェア

pagetop