本当は誰よりも可愛い君。~君の全てを守りたいから

4*ペアをばくる?

 その出来事が起きたのは、コンテスト本番まであと2週間って時だった。

 いつものように放課後、被服室に入ろうとした時、ドアが開いていてふたりの声が聞こえてきた。陽大くんと花田さんの声が――。

 なんで花田さんがいるの?
 なんでふたりがここで話をしているの?
 ふたりって全く接点がないよね?

 この状況、疑問しか浮かんでこない。

 たまたまかもだけど、花田さんと陽大くんがふたりきりで話をしている。それだけで心が痛くなった。それに放課後の被服室は私にとって唯一、癒される特別な場所。 
 
 そこに花田さんがいるのが嫌だった。

 中に入れずにいると、ふたりの会話が聞こえてきた。

「私と組まない?」
「どういうこと?」
「正直に言うと、私が桐生くんと組むより、七瀬くんと組んだ方が優勝確実だと思うんだよね」
「……僕と?」
「実は、私ね、七瀬くんが急にかっこよくなってから、七瀬くんのこと、気になっちゃって……」
「いや、でも花田さんって、桐生と付き合ってるんじゃないの?」
「それはそうだけど……七瀬くんも、あんな白雪さんみたいなどんくさい子と組むよりも、私と組んだ方が絶対にいいと思うし……」

 花田さんが普段よりも甘い声で陽大くんに話しかけている。私のことも言われてるし……。

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