知人の紹介で
「はあー、助かった」
「ふふ、大丈夫ですか?」
「あ、すみません。連れ回してしまって。あの、ちゃんと説明します」

 こんなところまで連れてきてしまったことを謝罪しつつ、圭吾は事の顛末をすべてその女性に話して聞かせた。

「なるほど。内定先のOBさんたちなんですね。それはなかなか断りづらかったですよね」
「すみません。本当は無視して帰ってしまうのが正解だったんだろうけど、お手本にあなたに声をかけると言いだしたものだから、慌てて僕が行くと言ってしまって」
「私のこと助けてくれたんですね。ありがとうございます」
「とんでもないです。あなたのこと巻き込んでしまって、すみません」
「いえいえ。あなたが帰っていたら、私は彼らにナンパされていたのかもしれませんし、あなたが機転を利かせてくれて助かりました。ありがとうございます」

 女性はそう言って、わざわざ圭吾に頭を下げてくれた。見た目は幼く見えるが、随分としっかりとしている。

「いえ、こちらこそ私の話を信じてくれてありがとうございます。これもナンパだと思われたらどうしようかと。それで内定取り消しなんてことになったら本当に困るから。あー、でも、あなたが未成年だったら、声かけるだけでもまずいのかな……?」
「ふふふ。大丈夫ですよ。すみません、不安でしたよね。ナンパなんて本当に思っていませんから安心してください。それに私は未成年でもありません。こう見えても社会人ですから」
「……え? 社会人?」
「はい」

 この女性の落ち着きぶりから、さすがに高校生ではないだろうなとは思っていたが、まさか社会人とは思わなかった。高卒もしくは短大卒で働いたりしているのだろうか。だが、それを直接訊くのは憚られて、圭吾は保険をかけつつも根本的に気になったことを訊いてみた。
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