知人の紹介で
 まさか恋人になって早々に、しかもこんなオープンな場所で、さらには女性のほうから口づけてきたことに圭吾は当然驚いた。驚きすぎて動けない。

 そのまま真由美を見つめて固まってしまったから、真由美は変な誤解をしてしまったらしい。

「え、ごめん。初めてだった?」

 初めてのキスで驚いたと思われたようだ。だが、初めてかどうか以前に、この状況で驚かないほうが無理だろう。

「いや、初めてじゃないですよ。こんなところでいきなりされたら、誰だって驚きますから」
「あー、ごめんね、驚かせて。じゃあ、今からキスをします」

 真由美がとんちんかんな宣言をしはじめて圭吾は頭を抱えてしまった。

「いや、宣言すればいいというものじゃ……」
「ほら、目閉じて」

 真由美はもう一度キスする気満々らしい。まったく引く気配がない。積極的な真由美は好きなのだが、全部が真由美主導で進んでいて、男としてはなんとも複雑な気分だ。

「いつも主導権握られるんだよな……」
「何ぶつぶつ言ってるの? 早くチューさせてよ」

 好きな人からはっきりとキスを望まれれば、やはり嬉しいものだ。思うところはあるが、圭吾はどうせこの人には敵わないのだからと大人しく従うことにした。

「ははっ。どうぞ」

 圭吾が目を閉じればすぐさま真由美が口づけてきた。躊躇わずに二、三度唇を重ねてくるものだから、圭吾は初めてでないとはいえ、恥ずかしくなって、一人で赤面してしまった。

「ふふふ。圭吾くん好きだよ」
「まったくあなたって人は……俺も好きですよ。真由美さんが好きです。これからよろしくお願いします」
「うん! よろしくね!」
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