知人の紹介で
 そうしてある日、圭吾はその不安を真由美にこぼしてしまった。

「……真由美さん。真由美さんは今の関係でも満足?」
「圭吾くん、そういう遠回しな聞き方じゃ誤解生むよ?」
「わかってるくせに」
「でも、誤解が生じたら嫌でしょ? だから、はっきり訊くけど、圭吾くんは体の関係が必要かって訊きたいんだよね?」

 やはり真由美はわかっていた。自分より一枚も二枚も上手な真由美がこのくらいのこと察せないはずがないのだ。わかっていてあえて言葉にしたのだろう。きっと真っ直ぐに向き合おうとしてくれているからに違いない。

「そうだよ。真由美さん、俺のトラウマ気にしてるだろ?」
「まあね。だって、圭吾くんのトラウマ掘り起こしたくないもん」
「でも、それで真由美さんに遠慮されるのは嫌だ」
「ふふ、圭吾くんは本当にいい男だねぇ。あのね、私にとって一番大事なのはね、圭吾くんと笑って過ごすことだよ? それより大事なことなんてない。だから、それが絶対に欲しいとも思ってない。それに遠慮してるって、私そんなに好きものに見える?」

 真由美が特別にそれを求めているとまでは思っていないが、真由美の愛情表現を受けていれば、それも含めるのがやはり自然だと思っていた。

「真由美さんの積極的な行動見てたら、それもするのが普通だろうなって思うから」
「そりゃあ、確かにスキンシップ多い自覚はあるけど、別にそれにそんなにこだわりがあるわけじゃないよ? 私はただ好きな人とくっついてたいだけだから。だからね、こうやってるだけでもうすっごく幸せ。圭吾くんは幸せじゃない?」

 真由美は圭吾に正面からベッタリと抱きつきながらそう言ってきた。真由美から好きの気持ちがはっきりと伝わってくる。これで幸せでないわけがない。
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