知人の紹介で
「……え?」
「よかったね、圭吾くん」
「え? うん?」
「お父さん、ありがとう。圭吾くんはね同じ会社の後輩なの。まあ、部署は違うから仕事での関りは全然ないんだけどね」
「あら、そうなの。後輩ってことは年下よね。今おいくつ?」

 真由美の母からその質問が出て、ようやく結婚の挨拶の場らしい流れになったと圭吾は思った。真由美よりも三つも年下で、まだ社会人二年目の圭吾との結婚をご両親は心配するのではないかという不安が圭吾にはあったのだ。それでも真由美と結婚したいという意思は固いから、正直にその想いを伝えるつもりで圭吾は今この場に座っている。

「二十三です」
「まあ若い。その年でよく結婚を決意したわね」
「はい。社会人経験も浅い自分との結婚はご不安に思われるかもしれませんが、ちゃんと真由美さんのことを大切にします。必ず幸せにしますので、どうぞよろしくお願いいたします!」

 もう一度勢いよく頭を下げれば、なぜか真由美の母は笑いだしてしまった。
< 3 / 179 >

この作品をシェア

pagetop