異世界に転生したら溺愛ロマンスが待っていました! 黒髪&黒目というだけで? 皇太子もエルフもみんなこの世界"好き"のハードル低すぎませんか? ~これサダシリーズ3【これぞ雨降って地固まる】~

第1話 ただ、救いたいそれだけなので……。

 【第1話 ただ、救いたいそれだけなので……。】




 
 


 「よぉ~し、来い、ミランデル皇子!」

 「いくよぉ!」



 フェイデル国の春。

 外回廊から見える庭先で、バウンゼットが四歳になったミランデルと、五歳になったリューデルと遊んでいる。

 バウンゼットのついてはいろいろあったけれど、なんというか、今ではふたりの皇太子の専属の遊び相手みたいになっている。

 ここにケンネが加わると、本当にもう、ここが王宮だなんて思えないくらいの庭先遊技場大騒ぎ。

 この数年の間に、各地の落日の獣人たちの生活環境やその周囲の自然環境も確認できた。

 予想通り、どこもゲルタ火山のふもとと状況はほとんど同じで、わたしとアデル様は各国の王族や貴族に時間をかけて理解を求め、なんとか大陸全体で不戦協定を締結することに成功した。

 今では、フェイデル国だけでなく各国の町や村に、落日の獣人たちが安全に行き交っている。

 落日の獣人たちは季節ごとの実りや魚を人間の市場で売り、そのお金で布をはじめとする生活用品を手に入れることができるようになった。

 その中でも一番人気があるのは、バレーボールだ。
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