思春期の青へ

(離れる・・・か)


その選択肢は私の中にはなかった。

ただこのまま苦しい時間に耐えていくものとばかり思っていた。

そうでもしないと私は一人になる恐怖に押し潰れてしまいそうだから。

でも第三者から言われるとすんなりと私の中に入ってきた。

いや、圭が言ってくれたからかもしれない。


「・・・そっか。ありがと!元気でたわ。やっぱ何だかんだ言って圭は優しいね」
「いや俺はそんなに優しくねぇよ」
「え?そう?」


圭が優しくないなら誰が優しいんだろうか。

人に客観視した方がいいと言っていたが、圭もそうした方がいいと思う。

普通は幼なじみが教室から出ていったからって追いかけて校舎裏まで来ない。


「お前に優しくするのは・・・」


それに続く言葉はなかった。

そのタイミングで予鈴が鳴り、私達は教室に戻ることになった。

何を言うつもりだったのか気になり後日聞いてみたのだが「綾乃のクソ鈍感」と言われはぐらかされた。

何に対しての鈍感かよく分からないし、わざわざクソをつけることはないと思う。

圭は私に対し優しいのは間違っていないが、またに当たりがキツくなるのだ。

圭はツンデレという部類に入ると思う。
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