つまらない日々に花が咲いた
その時だった。
後ろから抱きつかれた。

『この香り、この感じ、顔見なくてもわかる』

「ごめんね。この子、困ってるから放してあげて。」
加納先輩の声だった。

「あ、えっと、わかりました。」
そう言って、男の子は手を放し、去って行ってしまった。

「先輩。」
私の心臓は爆発寸前だった。

「ごめん。迷惑だった?」
加納先輩にそう言われ、私は思いっきり首を振った。
「いや、ありがとうございます。」
私は加納先輩にお礼を言った。

「あの先輩・・・」
私は今言う決心をした。

しかし、
「柊?柊くん?」
加納先輩を探している取り巻きたちの声がした。

「ごめん。行くわ。」
加納先輩は急いで言ってしまった。

『あー、また、言いそびれた。」
私はまたガッカリした。

『なんで、こんなにタイミングが悪いんだろう?』





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