両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
「彩菜ちゃんをパーティーへ参加させるのを渋っていたのも、体調の心配もあるけど本当は大切な妻をたくさんの男がいる場所に連れて行きたくないからじゃない? かわいい彩菜ちゃんを独り占めして閉じ込めておきたいって気持ちが抑えきれなかったに違いないわ」
 自信満々な口調で言う萌絵さんに、「そんなわけないですよ」と困惑しながら首を横に振る。
「それに、別れ際に彩菜ちゃんに笑いかけたときも、離れがたくて仕方がないって顔をしてたわよね。結婚して一緒に暮らしてるのに、あんなに熱い視線で見つめるなんて。彩菜ちゃん本当に溺愛されてるわー!」
「萌絵さん、想像力が豊かすぎますよ」
「でも、副社長が彩菜ちゃんを大切に想っているのはわかったでしょう?」
「それは……、そうですね」
 優しい彼が私を心配し、大切にしてくれているのはちゃんと伝わって来た。
「やっぱり副社長に好きな人がいたなんて、なにかの間違いじゃない?」
「そうでしょうか……」
「きっとそうよ。それに悩んだところでどうしようもないことなんだから、忘れていいと思うわよ」
「そうですね。あまり気にしないようにします」
 萌絵さんの明るいはげましに、少しだけ気持ちが軽くなった。

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