両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
 会場にはたくさんの参加者たちがいるけれど、その中でも翔真さんのかっこよさは飛びぬけているから、注目を集めてしまうのも無理はない。
 こんな素敵な人の隣にいるのが私なんかでいいんだろうかとなんだか申し訳なくなる。
 翔真さんは周囲からの熱い視線を集めながら私の腰を抱いた。体が近づき緊張で鼓動が速くなる。
 今日私が着ているのは淡いブルーグレーのパーティードレス。お義母様が選んでくれたものだ。
 胸元や背中が繊細なレースで覆われていて、肌が透けて綺麗に見える。シンプルなシルエットだけどいくつものビジューや刺繍がほどこされていて、上品さと優雅さのバランスがいいとても素敵なドレスだ。
 このドレスに合わせてダイヤのピアスまでいただいてしまった。そのピアスが映えるように、今日は髪をアップにしてアレンジしていた。
 いつもは髪で隠れているうなじがあらわになっていて、少しだけ恥ずかしい。
 そんな私に翔真さんが「彩菜、寒くない?」とたずねてきた。
「ありがとうございます。大丈夫ですよ」
「でも、肩や背中が透けているから温かくはないだろ。なにか羽織るものが必要なら用意させるよ」
 バンケットルームはエアコンが効いていて涼しいけれど、寒いほどではない。
< 120 / 191 >

この作品をシェア

pagetop