魔法の手~上司の彼には大きな秘密がありました!身も心も癒されたい~
「武器じゃありません!これはフォークです」

プリプリと怒りながら社食の和風パスタをくるくると武器いやフォークに絡めて口に運ぶ。

「今回の耳よりなお知らせは何?」

「おぉ、忘れるとこでした!これ見て下さい」

テーブルの携帯を私の目の前に「じゃーん」と意味不明な効果音と共に突きつけてきた。

「そんなに近付けなくても見えるって」

渋々箸を置いて内容に目を通した。

「素敵な交換交流のお知らせです!」

「見る限り人数合わせね」

交換交流=合コンの話。
西館の受付カウンターの子からのメールには足りない人数が書いていた。

「チーフ!私は彼氏が欲しいんですよ!!」

またフォークがこっちを向いてる。

「この前まで居たじゃない」

前の彼氏は1ヶ月前までは居た。
大袈裟に言ってるけど3年も彼氏が居ない私には昨日の事と同じ。

「チーフ本気で言ってます?1ヶ月って最近じゃないんですよ?一昔(ひとむかし)前なんです!」

「一昔って…」

彼女の表現と言葉は独特で不覚にも笑ってしまった。

「もう11月ですよ?イベント満載の12月まで時間が無いんです!!」

「イベントは確かにあるわね。北館も来年模擬ウエディングだし…南館もファッションショーあるし…東館も」
「ちがーーーう!!」

そんな力強く否定されるとは…

「どうして仕事なんですか!!クリスマスにお正月ですよ!!バレンタインに…まあ北館の模擬式は見たいけど」

繁忙期になるこれからの時期に素敵な妄想をまたも力説されて、

「恋愛脳をこうガーッと活発にさせてですね」

「分かった!行くから…大人しく食べて」

こうなったら鈴ちゃんは止まらない。
これ以上熱く語られるのは勘弁して貰いたい。

「絶対ですよ?今週末ですからね。チーフも私も早番シフトなんですから」

そこまで確認済。
その能力を仕事に向けてくれたら…

「きちんと仕事だってしますよ。チーフ失礼ですね」

可愛くぷぅと頬を膨らませる彼女は可愛くて私はまた笑みを浮かべた。
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