魔法の手~上司の彼には大きな秘密がありました!身も心も癒されたい~
とは言った物の…

「チーフ、Rioグループの橋爪様から新規店舗の打ち合わせを15時にお願いしたいそうです」

「はい」

「チーフ、光来(こうらい)の方が明日の打ち合わせの件で連絡下さいとの事です」

「分かりました」

次から次へと仕事は休ませてくれない。

(橘チーフもこうだったのかな…)

昨年改装工事を行った西館チーフを思い浮かべた。

(あんな小さな身体で体力あるよな…)

「ふぅ」ため息を吐いて届いてるメールに目を通す。

「疲れてるな」

耳元で囁かれて声にならず凄い勢いで振り返った。

「課長!近すぎ」

「ははっ、悪いな」

距離感考えて欲しい。
周りが…

「藤堂(とうどう)課長じゃない?」
「近くで始めて見たぁ〜」
「本当かっこいい」

騒がしい…
こうなるから知り合いと思われると後が困る。

「あからさまに嫌そうな顔だな」

「周り見れば分かるで…分かりますよね」

「あぁ〜、悪いな」

タメ口はまずいよね。
会社では課長とチーフの関係。
危うくいつもの調子になるとこだった。

「今日は何用ですか?藤堂課長」

わざとらしくメガネのブリッジ部分を指先で押し上げた。

「杞憂(きゆう)の件でこっちと話した方が早いと思ってな」

杞憂…あぁ、あの

「それなら真山(まやま)課長が詳しいと思います。無線入れましょうか?館内に居るはずですけど」

館内の広範囲じゃければBluetooth仕様の無線。
館外なら携帯が基本。
各フロアの担当以上なら誰でも所持してる。

「急ぎじゃないから連絡くれるように伝えといて」

「かしこまりました」

いつも使わない日常単語に噛みそうになるのを何とか堪えた。

「…後で連絡する」

また耳元で言われて振り返ると去って行く後ろ姿。

(顔、熱い…)

「藤堂課長…めちゃくちゃ良いのに!」

鈴ちゃんはスーッと椅子ごと移動して私の隣で頬を染めてる。

「でも既婚なんですよねー。残念すぎる!」

そう既婚。
だから誰も望もうとしない。
私もその内の一人。

「残念…か」

「チーフ知ってます?課長の奥さんて…」
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