甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る
「いえ、私の判断です」
「なら、ゴミ箱は、空いてるダンボールで代用して、ゴミ袋を多めに用意だな」
「ありがとうございます」
「…それだけか?」
「えっ?」
腕を伸ばしてきて、私の手を繋ぐ高山チーフ。
「な、なんですか?」
「とぼけんなよ。俺のほしいものわかってるだろ」
繋いでいた腕を引っ張られ、開いていた足の間に収まって見下ろした。
まったく、この駄犬は…艶めかしい目つきで欲情を隠そうともしない。
先ほどは自分からしてきたくせに、目を閉じて待っている男に呆れるが、なんだか、そこまでしてキスしたいのかと笑えてしまう。
「ここ、会社ですからね」
ないのかとガッカリしたところへ、チュッと本日3回目のキスと離れる際に唇を甘噛みしてしまったのは、きっと、結局は、さっきのキスでは物足りなかったのだと思う。
すぐに離れたが、彼は右頬を上げて微笑んでいる。
「ここ仕事場だぞ。悪い女だな」
失敗したかもと、すぐに後悔するのだ。
週末に向けて慌ただしかったが、やっとここまできたと、イベント2日間に気合いを入れているところへ、目の前で、女性のアルバイトスタッフが、イケメンが3人もいるので飛び跳ねて喜んでいる。