甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る

「いえ、私の判断です」

「なら、ゴミ箱は、空いてるダンボールで代用して、ゴミ袋を多めに用意だな」

「ありがとうございます」

「…それだけか?」

「えっ?」

腕を伸ばしてきて、私の手を繋ぐ高山チーフ。

「な、なんですか?」

「とぼけんなよ。俺のほしいものわかってるだろ」

繋いでいた腕を引っ張られ、開いていた足の間に収まって見下ろした。

まったく、この駄犬は…艶めかしい目つきで欲情を隠そうともしない。

先ほどは自分からしてきたくせに、目を閉じて待っている男に呆れるが、なんだか、そこまでしてキスしたいのかと笑えてしまう。

「ここ、会社ですからね」

ないのかとガッカリしたところへ、チュッと本日3回目のキスと離れる際に唇を甘噛みしてしまったのは、きっと、結局は、さっきのキスでは物足りなかったのだと思う。

すぐに離れたが、彼は右頬を上げて微笑んでいる。

「ここ仕事場だぞ。悪い女だな」

失敗したかもと、すぐに後悔するのだ。

週末に向けて慌ただしかったが、やっとここまできたと、イベント2日間に気合いを入れているところへ、目の前で、女性のアルバイトスタッフが、イケメンが3人もいるので飛び跳ねて喜んでいる。
< 102 / 145 >

この作品をシェア

pagetop