甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る

「今回のバイト当たりかも」

「だよね。終わったら打ち上げもあるんでしょ。絶対、隣に座る」

など騒いでいて、若林さんは、騒ぐ彼女らに呆れながらも、騒がれて嬉しそうに口角が上がっていて気持ち悪い。

高山チーフと沢内さん2人にも聞こえているはずだが、表情一つ変えないあたり、うちの男性社員は分別はあるようだ。

ほんと、モテる男には、意図しなくても女性がまとわりつくのだと、心穏やかでいられずに彼を見ていた。

視線を感じたらしい高山チーフは、目を大きく開いて『なんだ?』と言うような表情をする。

こちらは、なんだか面白くないのでそっぽを向く。

この数日は、出店者側とアルバイトスタッフを交えての顔合わせと打ち合わせや、前日、機材等の運搬に追われ、いくつものテントの組み立てや設置に紛争して過ごしたが、とうとう本日は、待ちに待ったラーメン祭のイベントの日。

開催前に、主催者からの挨拶と、うちからの挨拶に高山チーフが立った。

「本日は、ご協力頂きましてありがとうございます。皆さんの力を借りてイベントを成功させたいと思います。些細なトラブルが起こることもあるでしょう。その際は自己解決せずに、近くにいる私達に声をかけてください。最後は、笑顔で皆さんと打ち上げできるように頑張りましょう」
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