甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る
「はい。朱音さんにも高山チーフにも可愛いがって頂いて、この会社で働けて幸せです」
「菜々緒ちゃん、いい子」
よしよしと、エアー撫で撫でをしだす朱音さん。
「でも、恋愛となると健斗はないんだ?うちの会社、社内恋愛していいよ。俺も、こうして、彼女いるし」
「彼女じゃないから」
「まだ、そんな事言ってるの?朱音、食べ終わったよね⁈家帰ろうか」
なぜか、頬を引き攣らせ頑なに首を左右に振る朱音さんに向けて、社長は、とびっきりの笑顔でいる。
抵抗虚しく手を繋がれて、ほとんど拉致られる感じで、朱音さんと社長は帰っていってしまう。
隣の男は、空いた前の席に移る気配もなく、私は、通路に出る道を塞がれている状態だ。
仕方なく、残っている揚げパスタをチビチビと食べていく。
横からの視線が気になり、チラリと見ると目があってしまった。
「なんですか?」
「食べたい」
「揚げパスタは、新さんからのサービスなんで遠慮なく食べてください」
そう言ってあげたにも関わらず、隣の男は微動だにしない。
「食べたいんだ」
「だから、どーぞって言ってます」
「それなら、遠慮なく」
今見ていた目の前の背景が消えて、唇に柔らかいものが触れて、唇を何度も喰まれている。