甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る
なぜに?
咄嗟の事に驚いたが、今日は不意打ちキスは2度目だ。
大人しく引き下がれるはずもなく、高山チーフの胸を押したのだ。が、びくともしてくれず、後頭部まで押さえられて、キスが深くなっていく。
舌でこじ開けられた唇をなぞられて、少し火傷してヒリヒリした舌先を絡め取られる。
アルコールの強いお酒、ウイスキーの香りが鼻先をくすぐり、舌先が先ほどのバニラのアイスの甘さを感じさせる。
ウイスキーの香りに酔ったように、目を閉じて高山チーフの胸元のシャツにしがみついたまま、キスを続けられてしまう。
舌を噛んでやればいいと思う反面、彼とのキスに脳内は甘い痺れを感じ、もっとキスしていたいと思った。
そこへ、パコンと大きな音が響いて、目が覚めた。
「人の店で発情するな。家帰ってからやれ」
仁王立ちする新さんが、どうやらシルバーのトレンチで高山チーフの頭を叩いたようだ。
「会計済みだから、菜々緒ちゃん、このバカ連れ帰ってくれる」
「は、はい」
目尻を引くつかせる笑顔が怖いと思った瞬間だった。
「新さん、ごちそうさまでした」
ソファから高山チーフを推すと、簡単に通路へ出る高山チーフの後を追って、自分も通路へ。
そして、高山チーフと一緒に帰る気はさらさらなく、先に店を出たのだ。