あのとき、君がいてくれたから

すると遠坂はぶっと吹き出した。



「逆に知ってたら高菜、ストーカーじゃんか。」



「あ、えっと。」



そういうことじゃない。


何か言わないとまた相手を嫌な気持ちにさせてしまう。


私が何か言う前に遠坂が私の目を見た。


「高菜、意外と面白いな。」



「あ、そうなの?」



「うん。すげぇなんか、その...。」



「うん。その、何?」


私が返事を待っていると話題を変えられた。




「そういえばさ、高菜に謝りたいことあって、その、教室でぶつかったとき悪口言ってごめん。」



「全然、気にしてないよ。今に比べたらかわいいもんだし。」



「お前、強いな。」


私は少し乾いた笑いを返した。


「普通ってなんだろうね。」


私は気づくとそう口にしていた。


もしかしたら私をはじめておもしろいと言ってくれた遠坂を少し信頼しはじめているのかもしれない。


遠坂は空を見ながら少し考えた後、私の方に向きなおった。



「普通なんて、その人の価値観みたいなもんなんじゃね?俺は高菜みたいに天才じゃないし、保証はないけど。」


「そっか。」


私は久しぶりに自分を肯定された気がした。


なぜか心臓がバクバクと脈うってる。


それは普通という意味が少しわかったから興奮しているのだと思うことにした。


そこから得に何もしゃべらず、暗くなってから遠坂と一緒に広場を出た。



また明日も来いと言われた。



そのとき、遠坂の顔が少し赤くなっているように見えたのはなぜだろう。
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