紫苑くんとヒミツの課外授業


広い会場をぐるっと見渡すと、見たことのある有名財閥や大企業社長の令嬢も多い。


しかもそのほとんどは、私や聖来と同年代くらいの子ばかりで。


このパーティーで当主の方がご子息の婚約者候補を選ぶという話は本当なのだと実感する。


「水瀬さん。ご無沙汰しています」

「これはこれは、長嶺(ながみね)さん」


両親と一緒にいると、大手不動産会社の社長だというダンディーな男性が父に声をかけてきた。


「そちらのお嬢さん方は、娘さんですか?」

「はい。娘の咲来と聖来です。ほら、お前たちも挨拶しなさい」

「咲来です。父がいつもお世話になっております」

「聖来です。よろしくお願いしまーす」

「いやぁ。二人とも可愛らしいお嬢さんで。ぜひ、うちの息子のお嫁さんに来て欲しいものですね」


はっはっはと笑う、長嶺社長。


その後も次から次へと、父の仕事関係の人たちが挨拶にやってきて。

私と聖来はその度に挨拶をし、ペコペコと頭を下げた。

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