紫苑くんとヒミツの課外授業
うそ。まさか、紫苑くんが私のことを好きでいてくれたなんて。
「咲来は、よく笑ってて可愛くて。頑張り屋さんで。困っている人がいると助けてあげられるような優しい子で。俺は、そんな君に強く惹かれた」
「ほんとに?」
嬉しくて、視界が涙でぼやけていく。
「ああ。だから、咲来……俺と、付き合ってください」
「……はいっ」
自分へと差し出された紫苑くんの手を、私は迷わずに取った。
「ワーッ!」
「おめでとう〜!」
……え!?
気づいたら会場は、祝福の声と拍手で溢れ返っていた。
そうだ。途中からつい、紫苑くんと二人だけの世界に入ってしまっていたけれど。
ここは、ホテルのパーティー会場だったんだ。
注目されていたことに気づいた私が顔を赤らめていると、肩にそっと誰かの手がのせられた。
「咲来……」
「マッ、ママ!?」
そちらに目をやると、私の肩に手をのせていたのはなんと母だった。