乳房星(たらちねぼし)−1・0

【願いごとのもち腐れ】

(ゴーッ…)

時は、1月18日の朝6時頃であった。

A班のメンバーたちが乗っている専用機が大阪伊丹国際空港に到着した。

A班のメンバーたちは、専用機から降りたあとタラップ下に停まっている特大バスに乗り込んだ。

バスの中にて…

バスに設置されているテレビの画面にNHK総合テレビで放送されている『NHKニュースおはよう日本』が映っていた。

A班のメンバーたちは、子守女《こもりめ》さんたちから受け取ったサンドイッチと紙パックの毎日牛乳で朝食を摂った。

朝食を摂ったあと、子守女《こもりめ》さんたちから受け取った日本経済新聞を読んでいた。

そんな中であった。

順子《よりこ》さんと福也《さちや》さんは、ラブラブモードであった。

福也《さちや》さんは、順子《よりこ》さんの肩によりそって甘えていた。

私はこの時、書面を読んでいた。

書面は、毎週日曜日昼に放送されているディベート番組で討論される内容が記載されていた。

私は、正午から始まる番組の大量収録に出演する予定である。

私は、意見がある箇所《かしょ》をひとつずつ調べていた。

(ブロロロロロロロ…)

時は、朝6時半頃であった。

バスが出発したと同時にテレビの画面が消えた。

バスは、大阪伊丹国際空港から出発したあと阪神高速道路を通って大阪市内へ向かった。

バスは、朝7時半頃に大阪市中央区城見《おおさかちゅうおうくしろみ》にあるテレビ局に到着した。

テレビ局の正面玄関前に特大バスが到着したと同時に、付き人軍団の男たち300人が一斉にバスを取り囲んだ。

周りの防備が固められたあと、バスのドアがひらいた。

その後、A班のメンバーたちがバスから降りた。

A班のメンバーたちは、バスから降りたあと受付に向かって歩いた。

付き人軍団の男たちは、一斉におじぎをした。

A班のメンバーたちは、まず受け付けで手続きを行った。

その後、テレビ局のスタッフさんたち10人と一緒に楽屋へ向かった。

またところ変わって、楽屋にて…

ディレクターチェアに座っている私は、討論テーマが記載されている書面を読んでいた。

ゆかさんは、私のバイタルチェックをしていた。

私の右腕にリストバンドが巻かれていた。

リストバンドの下に聴診器が置かれていた。

ゆかさんは、水銀の血圧計を使って血圧測定をしていた。

(ペコンペコンペコンペコンペコンペコンペコンペコンペコン…プシュー…)

リストバンドのエアーが抜けたあと、ゆかさんはチェックシートに血圧値と脈拍数を記入した。

A班のメンバーたちは、お仕事を始める準備をしていた。

(ピピピピピピピピピピピピピピピピ…)

この時であった。

私の右わきにはさんでいるオムロンの電子体温のアラーム音が鳴ったので、ゆかさんが福也《さちや》さんに声をかけた。

「福也《さちや》さん…福也《さちや》さん!!」
「えっ?じゃないわよ…体温計…」
「えっ?」
「体温計!!」
「ああ、すみませんでした〜」

ゆかさんにどやされた福也《さちや》さんは、アタフタした表情で私の右わきにはさんでいた体温計を取り出したあと、体温をゆかさんに言うた。

「えーと、34度7分…平熱です。」

ゆかさんは、怒った表情で福也《さちや》さんに言うた。

「アカン!!はかり直し!!」
「えっ?」
「はかり直し!!」
「すみません…ああ、もう一度入れます…」
「はよしてや!!」

ゆかさんにどやされた福也《さちや》さんは、ものすごくアタフタしていた。

この時、順子《よりこ》さんが福也《さちや》さんに代わってセットし直した。

それから40分後であった。

テレビ局の番組スタッフさんたち3人が私を迎えに来た。

私は、スーツ合わせが完了したので番組スタッフさんたち3人と一緒にスタジオへ向かった。

時は午前9時50分頃であった。

他の出演者さまたちとの名刺交換を終えた私は、所定の席についた。

それから5分後に、司会を務める男性シンガー・ソングライターさまとテレビ局の男性アナウンサーがスタジオに入った。

午前10時頃に大量収録が始まった。

大量収録は、48時間後の1月20日の朝10時まで行われる予定である。

時は、正午頃であった。

またところ変わって、大阪西成《にしなり》の萩の茶屋公園にて…

この日も、ゆらさんはおっちゃんと一緒に炊き出しの列に並んでいた。

ゆらさんは、炊き出しを受け取ったあとベンチに歩いて向かった。

この時であった。

公園のベンチに公則《まさのり》がひとりで座っていた。

公則《まさのり》は、柿の葉寿司でランチを摂っていた。

そこへ、炊き出しを持っているゆらさんがやって来た。

ゆらさんは、しみじみとした声で公則《まさのり》に言うた。

「ねえ。」
「なんや!!」
「そないに怒らんでもええやん。」

公則《まさのり》は、怒った声でゆらさんに言うた。

「おい!!その辺をうろつくな!!」
「なんでそないに怒るねん〜」
「ひとりでメシ喰いてぇんだよ!!」
「そななさびしいこと言わんといてーな〜…空いてる席に座らせてよ~」
「ほかへ行けや!!」
「せやかて、空いてる席はそこしかないもん〜」
「はぐいたらしいババァやのぉ!!」
「そないに怒らんでもええやん…座るよ~」

ゆらさんは、公則《まさのり》の横にずうずうしく座ったあと炊き出しを食べようとした。

この時、ゆらさんは公則《まさのり》が食べている柿の葉寿司をほしそうな目で見ていた。

公則《まさのり》は、怒った声でゆらさんに言うた。

「コラ!!」
「なんやねん〜」
「なんやねんじゃなかろがババァ!!」
「なんでそないにガーガー怒るねん〜」
「あんたがほしそうな顔をしていたから怒ってるのだよ!!」
「うち…食べたいもん〜」
「食べたいって、何をぞ!?」
「その柿の葉寿司が食べたいねん…ごはんがないから汁物が食べれん…」

思い切りブチ切れた公則《まさのり》は、ゆらさんに対してものすごく怒った声で言うた。

「わかった…ほんなら食え!!」
「おおきに。」
「その代わりに…これやれ!!」
「えっ?」
「ただで食わすとは言うてないぞ!!今月中にデリシャン株をマリンホールディングの石頭のクソジジイからかっぱらってこい!!」

思い切りブチ切れた公則《まさのり》は、ゆらさんにめんどい頼みを押し付けたあとその場から逃げ出した。

「待って〜な…どこへ行くねん!!」

ゆらさんは公則《まさのり》を呼びつづけたが、公則《まさのり》はスタコラサッサと逃走《トンズラ》した。

またところ変わって、テレビ局のスタジオにて…

私は、2階席の一階の左端の席に座っていた。

他の出演者《パネラー》たち7人は、より激しい口調であーだこーだと言いあっていた。

時おりやばい言葉が飛び交うなど…番組がヒートアップした。

私は、どこで意見を言えばいいのかわからずにコンワクした。

その頃であった。

A班のメンバーたちは、楽屋に待機中もお仕事をつづけた。

B班のメンバーたちは、プリンスエドワード島の本籍地の家でメイン事業の運営と私のオルドビス作り…

C班のメンバーたちは、プレタ…

D班のメンバーたちは、フーヅ…

…のお仕事に取り組んでいた。

一方で、テレビ出演中の私はひどくコンワクしていた。

7人の出演者《パネラー》たちがバリゾーゴンの応酬を始めたことが原因であった。

たのむからひとこと言わせてーな…

こっちは、ひとことも意見を言うてないのだよ…

困るねん…
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