熱愛発覚中
2・思い出作りと称する
駅から北の方にある人呼んで“ノースエリア”と呼ばれているその場所は高級住宅街だと聞いたことがあった。

主に大企業の社長や資産家がこの地を所有していると言うこの場所に期間限定とは言え住むことになるとは、誰が思っていただろうか?

「広過ぎる…」

私が使うことになったこの部屋に足を踏み入れたのと同時に、ここはホテルのスイートルームかと疑ってしまった。

高級ホテルを経営しているだけに…なんてね、我ながら笑えない。

売り言葉に買い言葉で牛島さんとの期間限定での結婚が決まった最初の週末、私はそれまで住んでいたマンションから彼の家に住むことになった。

と言っても、去年の暮れに部屋の更新の支払いをしたから解約をするのはもったいないと言うこととと住むのはたった1年間だけなので元々住んでいた部屋はそのままである。

早い話が必要なものだけをキャリーバッグの中に入れて家にやってきたと言う訳だ。
< 31 / 225 >

この作品をシェア

pagetop