浪漫大正黒猫喫茶
「おはようございます、マスター。すぐに準備します」

「焦らずとも構いませんよ。まだまだ開店には時間がありますから」

「いえ、そういう訳には――っとと、まろさんも、おはようございます!」

 慌てて、危うく踏みそうになってしまった眼下の黒猫から離れ、頭を下げる。
 愛らしいお顔とは裏腹に、この店先からあまり動かないものぐさ猫さん。
 ある時ある瞬間から住みつき、半ば飼うような形で居候をしている猫らしい。
 しゃがみこみ、頭をつんと指先で小突いてやる。
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