宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜


 自分でもらしくないことを言っていることはわかっていた。
 でも雰囲気に飲まれ、アルコール度数の高いお酒をあおり、私はとにかくテンションが昂っていたのだと思う。

 ただのラッキーで普段は入ることの叶わないツインタワーのVIPバーを訪れているだけの一般人なのに、今この時間だけは自分が特別な人間になったような。
 そんな高揚感に満ち溢れていた。


「それでは、次はシンガポールスリングでも飲もうかな」


 彼は一気にギムレットを飲み干してしまった。


「シンガポールスリング?」

「ジンベースにチェリーブランデーやレモンジュースを合わせたカクテルです。フルーティーで飲みやすいですよ」

「へぇ、美味しそう!」

「一緒に飲みますか?今度はロングカクテルでゆっくりと」


 ふ、と微笑を浮かべる彼はとても色っぽくて思わずときめいてしまった。

 やっぱりこの人、かなりのイケメンだ。それでいて変な嫌らしさがなく、さりげない仕草から育ちの良さが窺える。
 身に付けているスーツや腕時計はハイブランドばかりだし、そもそもこのVIPエリアに入れる時点で富裕層であることは間違いない。

 それから私たちは小一時間くらい話をした。
 会話のリズムはとても心地良く、途切れることなく続いた。初対面でありながら、彼との時間は驚くほど穏やかであり刺激的でもあった。


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