私が一番近かったのに…
「幸奈。たこ焼き買ってきたよ」

頭の中でずっと葛藤していたら、愁がいつの間にかたこ焼きを買ってきてくれた。
言った手前、食べたかったふりをした。本当は今、たこ焼きどころではない。愁のことが好きで、好きで、堪らない…。

「ありがとう。お祭りといったら、たこ焼きだよね!」

「そうか?俺は焼きそば派だな」

愁は焼きそばが好き。新しい愁の一面を知ることができた。
愁が好きというだけで、私も焼きそばが好きになった。我ながら単純だなと思った。

「焼きそばか…。焼きそばもいいよね」

彼も食べたかったのか、「ちょっと待ってて」と言い、焼きそばを買いに行った。
すぐに戻って来た。手に焼きそばを持ちながら…。

「買ってきた。一緒に食べないか?」

もちろん答えは一つしかない。一緒に食べたいに決まってる。

「うん!一緒に食べよ」

近くに座れるスペースがあった。そこに腰を下ろし、たこ焼きと焼きそばを、シェアして一緒に食べた。

「ん…美味しい!」

どちらもとても美味しかった。お祭りという雰囲気に当てられているのもあるが、好きな人と一緒に食べているから、より美味しく感じたのかもしれない。

「幸奈って美味しそうに食べるよな。いいよな、そういうの…」

愁が私の食べている姿をずっと見ている。好きな人に食べている姿を見られるのは、とても恥ずかしい。
愁はあまり食べていない。愁はどうして食べないのだろうかと、少し疑問に思った。

「え、そうかな?愁はあまり食べてないよね…」
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