私が一番近かったのに…
「綺麗にしてるんだな…」

部屋に入るなり、愁は私の部屋中を見渡す…。
見られているのかと思うと、物凄く恥ずかしい。

「あんまりジロジロ見ないで…。恥ずかしいから」

自分の家のはずなのに、居心地が悪い。
愁が居るだけで、心臓が高鳴って、落ち着いていられない。

「俺は幸奈の部屋に入れて嬉しいよ。ありがとう、お家に上げてくれて」

断る理由が特に思いつかなかった。だって私は、愁のことが好きだから。
こうして一緒に居られる時間が、どれだけ貴重なことか。
愁は気紛れかもしれない。それでも私は、愁と一緒に居たい。

「気にしないで。大したお構いはできないけれど、よかったらお茶でも飲んで」

冷蔵庫の中に入っている、麦茶をコップに注ぎ、テーブルの上に出した。
喉が渇いていたのか、「いただきます」…と言い、すぐに飲み干してしまった。
あまりにも美味しそうに飲むので、おかわりを頼まれてもいないのに、また注ぎたくなってしまった。

「時間遅くなっちゃったけど、どうする?今日は帰るの?」

ふと疑問に思った。愁はどうするつもりなのだろうかと。
このまま泊まってもらっても構わないと、私は思っている。

「泊まっても大丈夫か?大丈夫なら、今日は幸奈ん家に泊まりたい」

こんなに必死な愁は初めてで。そんな愁に私はドキドキしている。

「男の子でも、夜道は暗くて危ないから、泊まってくれた方が安心だよ。
お布団はお客様用のがあるから、それを使って」
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