私が一番近かったのに…
この反応は、絶対に俺の気持ちを分かっているような気がした。
これ以上つつくと、こちらのボロが出そうなので、止めた。

「今はまだ分からなくてもいいから、食事が終わった後、俺の話を聞いてもらってもいいかな?」

彼女は敢えて気づいていないフリを続けてくれた。

「いいですよ。是非、話を聞かせてください」

それからずっと緊張していたせいか、お互いに沈黙だった。
この時、彼女もきっと心構えをしていたんだと思う。
せっかくの美味しい食べ物も、食事が喉を通った気がしなかった。
ずっとこの後の告白のことばかり考えていたせいかもしれない。

「そろそろお店を出よっか」

このままここに居ても仕方がない。きっと二人共、食べ物の味が美味しいかすら分からないほど、意識していた。

「そうしましょ。次はどこへ向かうんですか?」

「さっき見た海へ行こうかなと思って。どうかな?」

彼女の目が一気に輝いた。どうやら海が好きみたいだ。

「是非、行きたいです!」

今度は手を取るのではなく、手を差し伸べた。彼女が手を繋いでくれると信じて…。

「行こっか。海へ」

彼女は俺の手を取ってくれた。安心した。内心、本当は不安だった。手を取ってくれるかどうか…。
でも、まだ分からない。手を取ってくれたからといって、俺の告白にオッケーを出してくれるかどうかは。
不安な気持ちのまま、海辺へと向かった。
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