天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす
「すみません、すぐ出ますね」
飲み終えたコーヒーの容器を片付け、カフェを出る。
他の店もだいたい九時台に閉まってしまうので、時間を潰す場所がなくなってしまった。
仕方なく、到着ロビーの手近なベンチに腰を下ろす。
スマホを開いたら先ほどのメッセージに既読マークが付いており、嵐さんの仕事が終わったのかもしれないと思うと一気に心が弾んだ。
【大阪に用があったのか? 振替便には乗れたか?】
やっぱり驚いたみたいだ。それでも振替便の心配までしてくれる彼に、胸が温かくなる。
【いいえ。まだ、羽田空港にいます。嵐さんに会いたくて】
【空港のどこだ? すぐに向かう】
【第一ターミナル南ウィングの一階ベンチです。人が少ないので、すぐにわかると思います】
居場所を伝えたので、一旦バッグにスマホをしまう。
嵐さんなら本当にすぐ駆けつけてくれそうな気がしたので、思わず鏡を出して髪やメイクが乱れていないかチェックする。
少し浮いていた前髪を撫でつけ、「よし」と小さく呟いたその時、鏡越しにこちらを見ている女性と目が合った。