天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす
「私、もう待ちません」
ジッと彼を見つめて宣言する。嵐さんの瞳が、儚げに揺れた。
「それはもしかして、別れようという意味――」
「違います!」
誤解されないよう、きっぱり否定する。驚いたように目を見開いた彼にゆっくり語りかけた。
「強引にでも、嵐さんから話を聞こうって決めたんです。今よりあなたを知りたいから……もっと直接、嵐さんの心に触れたいから」
もしかしたら、拒否されるかもしれない。それか、なにも聞かない方が傷つかなかったかもしれない。
だけど、そんなふうに臆病になって、嵐さんとの未来をあきらめるのは嫌なのだ。こんなにもひとりの男性に強い気持ちを抱くのは初めてで、自分でも少し驚いている。
嵐さんは長い睫毛を伏せ、目を閉じた。自分の心と対話しているかのように、長い間。
けれど、まぶたを開けた時にはもう、心を決めたように澄んだ目をしていた。
「わかった。きみにまだ話していなかったこと、打ち明けるよ」
「ありがとうございます……」
「俺も、心のどこかで本当はずっと、紗弓に聞いてほしかったんだと思う。待たせてごめんな」